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TOP 記事一覧 ナレッジ 「最新アルゴリズムから見えた、相互リプで数字を作る限界」GMOサイン中の人が語る

更新日:2026年10月09日

「最新アルゴリズムから見えた、相互リプで数字を作る限界」GMOサイン中の人が語る

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朝の返信は、朝だけでは終わらない

ここまで読んで「それなら朝の挨拶投稿だけは企業同士の交流で数字を作って、昼以降の投稿は個人からの反応で伸ばせばいい」と考える担当者さんもいるかもしれません。ただ、そう都合よく切り分けられる話ではありません。
鍵になるのは、返信をした側のアカウントに残る履歴です。企業アカウントが他社の朝の挨拶に返信すると、「この会社の投稿に反応した」という記録がそのアカウントの行動履歴に残ります。Xはこの履歴をもとに「この人はこの投稿に反応しそうか」を予測しているので、毎朝やり取りしている相手の投稿は、時間帯に関係なくその人のタイムラインで上に出やすくなります。よく返信を送る相手の投稿が、数時間前のものでもタイムラインの上のほうに出てくる。皆さんにも見覚えがある現象ではないでしょうか。
さらに最新のアルゴリズムでは、相互フォローしている相手のオリジナル投稿(返信やリポストではない、本人の投稿)について、「見る人が返信しそうか」という予測をより重く評価する仕組みが加わっています。朝の挨拶の輪は相互フォローで成り立っていることが多く、この仕組みとも相性のいい関係です。
つまり毎朝のやり取りは、その場限りの挨拶では終わらず、お互いの行動履歴や関係の一部として積み重なっていきます。昼に投稿した新商品の告知も、夕方のキャンペーン投稿も、朝の挨拶仲間のタイムラインに届きやすい状態が続き、そこでまた反応が付きます。昼の投稿で別の層へ広がる可能性はあります。ただ、朝から積み重ねてきた関係は、投稿する時間を変えるだけではリセットできません。 企業からの反応は昼の投稿にも付き、数字を押し上げてくれます。そのぶん、どこまでが個人に届いた結果なのかは、数字だけでは見分けにくくなっていきます。
では、「朝の挨拶にだけ反応してください。昼からの投稿にはいいねしないでください」と、周りの企業の担当者さんにお願いできるでしょうか…?まず言えないと思います。私も同じ立場だったら言えません。相手は善意で反応してくれているのだから、なおさらです。
朝と昼で反応をくれる相手を切り分けるのは、仕組みの上でも人間関係の上でも、思っているより難しい話なのです。

たとえ挨拶の輪に参加していなくても、無関係ではいられない

ここまでは主役の「見る人の履歴」の話でした。ここからは、先ほど少し触れた脇役「投稿に誰がいいねしたか」の話です。
Xには、フォロー外の人に投稿を探してくるときに、投稿の特徴を「その投稿にいいねした人たちがどんな関心を持っているか」から捉える仕組みがあります。同じ投稿でも、どんな人からいいねされたかによって、どんな関心と結び付いた投稿として扱われるかが変わってきます。
朝の挨拶を中心に企業アカウント同士で反応を交わしているアカウントは、行動履歴の中で企業の投稿が大きな割合を占めます。AIから見たそのアカウントは、「企業の投稿に反応する人」という色が濃い存在です。もちろん、それ以外の反応もあるので、ほかの色も混ざっています。
その色の濃いアカウントが、挨拶とは関係のない企業の投稿にいいねをしたとします。するとその投稿にも、少しずつ企業の色が付いていきます。誰がいいねしたかが、投稿の特徴に関わるからです。誤解してほしくないのは、企業の色が付くことと、個人に届かなくなることは別の話だという点です。投稿の色が関わるのは、前回お話しした「出会い先」のほうです。
フォロワーのタイムラインという「届け先」は、別の仕組みで動いています。ただ、企業からの反応ばかりが集まれば、投稿の色は企業寄りに偏っていきます。そして数字だけを見ていると、その偏りには気づけません。企業同士の反応は、それ自体が投稿を沈めるものではありません。
それでも、そればかりに偏ると、届けたい相手とのズレが少しずつ広がっていきます。第6回で私が「impを殺していた」と感じたものの正体は、このズレだったのだと今は考えています。
出典:「企業アカウント同士の“いい関係”がimpを殺していた 企業が陥る企業クラスタというアリ地獄」
少し話を戻すと、自社が挨拶の輪に入っていなくても、輪の中にいるアカウントからのいいねが多く集まれば、投稿は企業の関心と結び付きやすくなります。
ここで考えたいのは、企業アカウントとして誰に届けたいのかということです。企業ごとに事業も特性も異なり、戦略や想いもそれぞれ違うはずです。BtoB企業であれば、企業アカウントの向こうにいる担当者が将来のお客さまになる可能性もあります。企業同士のつながりに、一定の意味を見いだすこともできると思います。
では、BtoC企業のアカウントはどうでしょうか。「企業アカウントの中の人だって一人の消費者だ」と思う方もいるかもしれません。確かにその通りですが、多くのBtoC企業が本当に投稿を届けたいのは、個人アカウントのタイムラインのはずです。
企業からの反応が多いこと自体は、悪いことではありません。個人にも響く投稿であれば、企業と個人の両方に広がっていくこともあります。問題なのは、反応の多さだけを見て、本当に届けたい人たちにも届いたと判断してしまうことです。

届けたいのは、どのタイムラインか

返信が100件付けば手応えを感じますし、社内への報告や外部への発表でもわかりやすい数字になります。私自身も担当者として、その気持ちはよくわかります。ただ、ここまで見てきた仕組みを踏まえると、企業アカウントから集まった100件の返信は「投稿が広がった」証拠としては弱い数字です。多くの場合、それは日頃から続いてきたつながりや、お互いさまのやり取りの中から生まれた数字だからです。同じ100件でも、中身によって意味はまったく変わるのです。
だからこそ、企業同士の返信を成果の中心に置かないことは、一社のためだけでなく、企業アカウントを運用する私たち全体のためにもなると思っています。企業同士の輪の中で積み上げた数字を成果として報告し、周りもそれを評価し続けていたら、いつか「SNSって、お客さまにちゃんと届いているの?」と聞かれたとき、私はきっと答えに詰まります。そのとき困るのは、ほかでもない私たち運用担当者です。
見るべきなのは返信の件数だけでなく、その返信を誰がくれたのかです。表面のわかりやすい数字ではなく、その中身に目を向けた瞬間、同じ100件でも見える景色はがらりと変わるはずです。

何周しても、同じ駅に戻ってくる

公開された仕組みから考えると、企業同士の反応の輪は、ぐるっと一周して元の駅に戻ってくる山手線や大阪環状線のようなものです(電車になじみがない方は、町内を回る循環バスを想像してください)。何周しても、乗り合わせるのはだいたい顔なじみで、新しい街にはなかなかたどり着けません。
一方で個人ユーザーの世界は、乗り換え駅だらけの路線網です。個人から反応をもらえば、投稿にはその人たちの関心が映り、似た関心を持つ別の人の候補に入る道が開けます。そこでまた反応されれば、さらに別の路線へと乗り継いで、思ってもみなかった遠くの駅まで届くこともあります。
もちろん個人の世界にも、いつもの顔ぶれで回る小さな環状線はあります。大事なのは企業か個人かというラベルではなく、届けたい相手の路線にも乗り換えられているかどうかなのです。今のアルゴリズムのもとで強いのは、環状線を何周もする投稿ではなく、届けたい人のいる路線に乗り入れられる投稿です。
では、どうすれば環状線を降りて、いくつもの路線に乗り入れられる投稿を作れるのか。次回のテーマにしたいと思います。
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GMOサイン公式X中の人

著者GMOサイン公式X中の人

大阪府出身。新卒でわかさ生活に入社し、広報として公式Xの運用を担当。独自の発信でファンを形成し「企業公式中の人」人気ランキングで1位を獲得するなど、数々の実績を通じて企業SNSの在り方に影響を与えてきた。現在はGMOグローバルサイン・HDの電子契約サービス「GMOサイン(@GMO_Sign)」公式Xを担当。AIによるアルゴリズム変化の最前線で、仮説検証と数値分析を重ねながら、生存戦略を探り続けている。

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