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TOP 記事一覧 ナレッジ 「企業アカウント同士の“いい関係”がimpを殺していた 企業が陥る企業クラスタというアリ地獄」GMOサイン中の人が語る

更新日:2026年06月10日

「企業アカウント同士の“いい関係”がimpを殺していた 企業が陥る企業クラスタというアリ地獄」GMOサイン中の人が語る

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GMOサイン(@GMO_Sign)の中の人です。
私は2025年の3月に新卒の頃からお世話になったわかさ生活を離れ、 GMOインターネットグループにおいてインターネットやデジタル取引の「安全」と「信頼」を担うGMOグローバルサイン・HDへ転職し、電子契約サービス「GMOサイン」公式Xの運用を1人で担当しています。
前回は投稿のimp(表示回数)が落ちて、あまり投稿が表示されない中でも「いいね率」は変わっていなかったことに気づき、「いいねが伸びればimpも増える」という長年の方程式を捨て、Xとアルゴリズムに好かれる投稿・アカウント運営を模索していく決意をお伝えしました。
「Impがもらえない今のXでどう戦うか?これまでの方程式を捨てた理由」 GMOサイン中の人が語る 
今回は、GMOサインの投稿をもっと多くの人に見てもらうために毎日複数のAIと向き合い、模索を続けるなかで見つけた“ある不都合な事実”。多くの企業アカウントが善意で続けていたあの慣習が、実は自分たちの数字や長期的未来の可能性を自ら下げてしまっていたというお話をお伝えします。
誰かの気づきになる話は、別の誰かにとっては聞きたくない話でもあります。もしかしたら私は、明日になると企業アカウント村から村八分にされるかもしれません。
さすがにそれは冗談ですが、お互いの首を絞め合ってしまう数字のゲームから、自分のように苦しむ誰かが一歩抜け出すきっかけになればいいなと思い、現場目線からのリアルをお伝え出来ればと思います。

審判なきルール変更、Grokに頼るしかなかった2025年

イーロンマスク氏は2022年にTwitter社を買収し、翌年の3月にはX社がこれまで一度も公開されていなかったTwitterのアルゴリズムを初めて世界に公開しました。
当時その中身で最も驚かされたのは、いいねの価値がわずか0.5点だったことです。一方で投稿に貰うリプライ(返信)はいいねの27倍にあたる13.5点。さらに投稿者が貰ったリプライにさらに返信すると75点と、明確にコミュニケーションの質と量が重視される設計になっていました。
※2026年現在、点数方式は存在しません。Grokが「いいね0.5点」等と答えるのは2023年公開の古いソースを参照しているためです。
その後、2025年10月にはイーロン・マスク氏がGrokによる完全AI主導への移行を発表しました。ただしこれは本人の発言であり、実装が公式に確認できたのは、2026年1月にそのAI主導のアルゴリズムが初めてオープンソースとして公開された時点でした。同年5月15日には続報となる2度目の公開もありました。
公開情報だけを根拠にするなら、アルゴリズムにAIが組み込まれたと断定できるのは2026年1月以降です。ですが、GMOサイン(@GMO_Sign)の数字の変化を振り返ると、イーロン・マスク氏が軽量版Grokの導入を示唆した2025年5月頃には、すでに何らかの変化が始まっていたと見ています。
出典:Elon Musk氏の投稿(上記画像では日本語訳)
「いいね」や「RT」の数で盤面をひっくり返せたオセロをしていたのに、いつの間にか数ではなく、一手の質と読みで局面が決まる将棋にゲームが変わっていた。2025年は戦っているゲームのルールが明らかに変わっているのに、審判からは何も発表されないまま試合を続けているような状況でした。
実際にアルゴリズムを裏側で統制しているGrokと、誰でも使えるAIチャットのGrokは、同じ名前ですが別物です。当時のチャット版Grokは回答の精度も十分ではありませんでしたが、X社からの説明が一切ない中、手がかりは2025年5月のイーロン・マスク氏の「軽量版Grok導入」という一言だけ。精度の足りないチャット版Grokに聞いて、公開されていないアルゴリズムの中身を読み解こうとするのが、当時唯一の合理的な選択だったのです。
自分自身、企業SNS界でも2度と同じケースは起きないであろう異例の転職をしたというバックボーンもあり、数字の低下がアルゴリズムのせいなのか、単なる人気の低下なのかを断言できない状況が続き、答えのないまま試行錯誤を重ねつづけた話はこれまでの連載でお伝えしてきた通りです。
そんな試行錯誤の末、私はタイムラインに繰り返し現れる、ある違和感に目を向けるようになりました。そしてその正体を探るうちに「クラスタ(同じ興味・属性を持つユーザーの集まり)」という概念にたどり着いたのです。

気付いた、企業アカウント同士のやりとりの限界

その違和感とは、複数の企業アカウントの朝の投稿が、100近くのリプライを集めているのにimpは5000程度にとどまっていたというものでした。
※下記の画像は実在する投稿をもとにした再現画像です。アカウント名・本文・画像は差し替え、表示回数および各反応数のみ実データを使用しています。
2023年のアルゴリズム公開以降、Xはコミュニケーションを重視する設計になっています。100近くのリプライを集めるのは並大抵のことではなく、それ自体は本当に凄いことだと思います。
しかし今のXは、AIが投稿への反応を見て配信先を予測・拡張していく仕組みになっています。だとすると、100のリプライをかき集めた投稿が1万impにすら届いていないのはおかしい。1万impでも少ないくらいで、もっと評価されてもいいはず。そう、何かがその拡張を止めていると考えるのが自然なのです。
そこで、それらの朝のあいさつ投稿に集まるリプライを実際に数えてみたところ、中身は7〜9割が企業アカウントからのものだったのです。
企業アカウントの多くが朝の挨拶投稿を行うのには理由があります。
大前提として、7〜9時の通勤時間帯は電車の中でXが見られやすく、そこを狙って投稿することに合理性があります。そして、少人数で他業務もこなしながら運営している企業アカウント担当者にとって、朝と退勤時の挨拶をルーティン化することは、限られたリソースの中で安定した運用を続けるための、ひとつの知恵でもあります。
挨拶交流をはじめとして、企業同士が相互の数字を補いあう文化が広まったのは、企業SNS担当者にとって理にかなった選択だったからです。企業アカウントが一般ユーザーに話しかけるのはハードルが高く、返信が来ない可能性もあり、そもそも話すきっかけを見つけること自体が難しい。その点、相手が企業公式なら文脈が通じやすく、リプライを送れば高い確率でリプライが返ってくる。互いにエンゲージメントを積み上げやすい関係だったのです。
こうすれば、何もないところからでも安定して反応数を積み上げられ、社内に向けても「これだけエンゲージメントが取れています」と示しやすい。担当者にとって、これほど合理的な仕組みはなかったのです。
そしてコロナ禍以降、企業アカウント同士でやりとりする慣習はさらに強まりました。
代表的なハッシュタグ「#企業公式が毎朝天気を言い合う」の投稿数を調べてみると、2026年5月度だけでも1万6千近くの投稿がなされています。
A社が朝の投稿をするとB社がリプライをする。するとそのお返しに、今度はB社の投稿にA社がリプライをしに行く。企業アカウントのタイムラインでは、こうした光景が毎日当たり前のように繰り広げられています。 
次のページ
なぜ私は、この慣習と距離を置いていたのか
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GMOサイン公式X中の人

著者GMOサイン公式X中の人

大阪府出身。新卒でわかさ生活に入社し、広報として公式Xの運用を担当。独自の発信でファンを形成し「企業公式中の人」人気ランキングで1位を獲得するなど、数々の実績を通じて企業SNSの在り方に影響を与えてきた。現在はGMOグローバルサイン・HDの電子契約サービス「GMOサイン(@GMO_Sign)」公式Xを担当。AIによるアルゴリズム変化の最前線で、仮説検証と数値分析を重ねながら、生存戦略を探り続けている。

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