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TOP 記事一覧 ナレッジ 「企業アカウント同士の“いい関係”がimpを殺していた 企業が陥る企業クラスタというアリ地獄」GMOサイン中の人が語る

更新日:2026年06月10日

「企業アカウント同士の“いい関係”がimpを殺していた 企業が陥る企業クラスタというアリ地獄」GMOサイン中の人が語る

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なぜ私は、この慣習と距離を置いていたのか

私がこの慣習に染まっていなかったのには、理由があります。
前職の「わかさ生活」は、中小企業ながら消費者からの知名度が高いtoC企業でした。さらに、早い段階から新卒社員が運営するアカウントとして注目を集め、メディアから取材いただく機会にも恵まれていました。
2020年のアカウント運用開始と同時に個人のSNSをすべて捨て、土日も自分の時間も使ってXに向き合っていたからこそ、そんな姿を応援してくださる皆様に出会えたりもしました。
そのため「リプライは相互に取りに行くものではなく自然と集まるもの」という感覚で運用の土台ができていたのです。今思えば、恵まれた出発点だったと感謝しています。
新卒の頃から「企業アカウントで1番になりたい」という目標を掲げ、独自のフォロワー層を獲得することこそが他社との最大の差別化だと信じ、何より力を入れていました。
そしてそれ以上に、「いいな」「おもしろいな」と素直な気持ちで企業さんにリプライした直後に、自社の投稿に義務的なリプライをいただくことに、どうしても申し訳なさと違和感を覚えてしまう性格だったのです。
こうした理由から、私は担当者となった早い段階より、この企業アカウント界隈の慣習と自然に距離を置いてきていたのです。だからこそ、今回も少し離れた場所から客観的に眺めることができ、この現象に気付けたのかもしれません。

企業同士の「いい関係」がimpを殺していた

AI導入後のXのアルゴリズムの主な特徴は、その投稿にどの層が反応しているかを見て「この投稿は他のクラスタにも配信すれば、さらに反応されるかもしれない」と判断し、次の配信先を決めていくことです。
つまり、普段から企業アカウントばかりに反応し、企業アカウントからの反応ばかりを集めているA社がリプライなどの濃い反応をした場合、AIは「この投稿は他の企業アカウントにも好まれやすい」と判断し、どんどん企業アカウントの方向へ配信を広げていくのです。
もっとも、2025年当時のAIが内部で「企業クラスタ」という箱を実際に持っていたのかは分かりません。ただ、企業からの反応をもとに似た層へ配信を広げた結果、観測される動きは「企業クラスタ内での循環」そのものでした。
ここに、impが増えるか増えないかの分かれ道があります。
投稿が企業クラスタの外へ広がればimpは伸びますが、逆に企業クラスタの中で循環すると、反応数はあっても頭打ちになる。これが、現場で数字と向き合う中で私がたどり着いた、「反応はあるのに届かない」構造の正体だと考えています。企業クラスタ内の循環でimpが頭打ちになる理由は、大きく以下の2点です。
①特定の狭いコミュニティ内でのやりとりだと判断される
X全体で見れば、企業アカウントだけのクラスタは母数が少なく、天井が低い。さらに同じクラスタ同士で繰り返されるやりとりは、AIにとって「内輪の慣れ合い」と映りやすく、外への配信を広げる判断材料にはなりにくいのです。
②やりとりの文章がパターン化している
朝の企業アカウントのやりとりを覗くと、続く言葉はだいたい決まっています。「おはようございます」「凄いですね」「本日も頑張っていきましょう」。こうした文脈の薄いテンプレート的なやりとりは、AIから見て会話としての価値が低いと判断されてしまいます。
2023年7月にXで収益化が始まって以降、青バッジ(X Premium加入者)同士による収益目的の相互の挨拶や中身のない褒め合いが急増しました。こうした動きに対してXも収益配分の仕組みを見直すなどの対応を進めており、そうした人間の思惑や行動パターンは、すでにAIに見透かされているはずです。
企業同士で相互に数字を支え合うため、いいねやリプライといった目に見える数字としては確実に積み上がっていきます。ですがその数字は、企業クラスタの中で回っているにすぎません。 例えるなら、アリーナ会場で大きな拍手を浴びているつもりが、教室の一室での拍手にすぎなかった。そんな厳しい評価がAIから実際に下されているのです。
企業アカウント同士の横の繋がり自体、コミュニティとしては大切なものだと思います。 ただ、自社を知らない新規層にimpを届けたいというマーケティング目的においては、今のアルゴリズム上、その慣習が足かせになってしまうのです。
そして厄介なのは、この構造がアリ地獄によく似ているということです。
企業同士で反応し合えば合うほど、AIは「これは企業アカウントが好む投稿だ」と学習し、配信先を企業クラスタへと寄せていく。届く相手が企業アカウントばかりになれば、また企業からの反応が増える。そうやって、もがけばもがくほど、投稿は企業クラスタの底へと沈んでいくのです。
2025年のAIアルゴリズムの変化以降、多くの企業アカウントのimpは減少していると見ています。仮に減っていなくても、企業アカウントの反応を土台として構築した数字に、今後大きな伸びは期待できません。
目の前の数字を取るか、長期的に伸びる土台を築くか。企業アカウントのこれからが問われ、自社が届けたい層を冷静に考え直す時代になったと、私は考えています。
次回は、なぜ私が企業アカウントでありながら企業クラスタから抜け出すことを選んだのか。土台にある根本的な考えについて書いていきます。
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GMOサイン公式X中の人

著者GMOサイン公式X中の人

大阪府出身。新卒でわかさ生活に入社し、広報として公式Xの運用を担当。独自の発信でファンを形成し「企業公式中の人」人気ランキングで1位を獲得するなど、数々の実績を通じて企業SNSの在り方に影響を与えてきた。現在はGMOグローバルサイン・HDの電子契約サービス「GMOサイン(@GMO_Sign)」公式Xを担当。AIによるアルゴリズム変化の最前線で、仮説検証と数値分析を重ねながら、生存戦略を探り続けている。

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